ハワイ最後の王、リリウオカラニ女王は音楽の才能に長けていた。
彼女は生涯を通じて100を超える曲を作り、その中で最も有名な歌のひとつにあるのが、アロハ・オエである。
歴史家のラヒラヒ・ウェッブの記録によれば、1878年にまだ若い王女であったリリウオカラニが、オアフ島北部のマウナヴィリという場所で、ある少女と軍人との別れの光景を目にして書いた詞であるとされており、一般的にはこれが定説となっている。
Aloha Oe - アロハ・オエ
Ha`aheo ka ua i nā pali
Ke nihi a`ela i ka nahele
E hahai (uhai) ana paha i ka liko
Pua `āhihi lehua o uka
Aloha `oe, aloha `oe
E ke onaona noho i ka lipo
One fond embrace, a ho`i a`e au
Until we meet again
誇らしげに谷を横切る雨は
森の中を通り抜けていく
それはまるでリコ(ハワイの植物)を探しているかのよう
山あいに咲くレフアの花よ
さようなら、あなた。さようなら愛する人
木陰にたたずむ愛しい人よ
私が去る前にもう一度あなたを抱きしめたい
また会えるその時まで
ある少女と軍人との別れを歌ったというその二人の気持ちを荒ぶる天気、ハワイの花々に例えた素晴らしい歌。
アロハ・オエに存在するもうひとつの説
しかし、このアロハ・オエにはこの二人の別れを歌った説と、もうひとつ別の説が存在する。
それは、リリウオカラニ女王が白人の侵略によって宮殿に幽閉され、ハワイ国王がまさに終わりを迎える事を悟った時に作られたという説。
詞の中に書かれた雨を共和制実現を目指す白人勢力、花を国民の暗喩と考えれば、王国の滅亡が目前となった当時の状況や女王の心情に驚くほど見事に符合することから、ある少女と軍人との別れの光景を目にして書いたという説よりもこの説を有力とする人も少なくない。
白人勢力によるハワイ王国の侵略や、リリウオカラニ女王の最後はこちらの記事。
オロハ・オエは本当にたった二人だけの別れを歌った曲なのだろうか。